「じゃ、シュシュール、行ってくるね~」

あたしに手を振って、バタバタと玄関に向かうふたり。


「やーっ、マジで遅れるー!」

「だから早く準備しなって言ってんのに」

「だって~」


ノンストップでおしゃべりを繰り広げながら、パタン、と扉が閉まった。

でもふたりの賑やかな話し声は、まだドアのむこうから聞こえてくる。


「あ、見てみて、沙耶。桜、咲いてる~!」

「うわぁ、キレイ」

「春だねー」

「あ、今度のお花見さー…」

「…………」

「……」