あたしはコートを脱ぎながら、部屋を見回す。どうやら沙耶は留守っぽい。 はるかひとりのキッチンには、作ったままほとんど手をつけていない料理。 「これ、はるかが作ったの?」 何気なく質問すると、急にはるかの顔が赤くなった。 「ううん。……タケルが」 「あ、タケル来てたんだ」 「う……うん」 消えそうな声で返事して、目を泳がせるはるか。明らかに、様子がおかしい。 「……タケルと何かあった?」 ガタン!と大きな音を立てて、はるかがイスから立ち上がった。 「別に!何も!全然!」