通いなれた部屋。
インターホンを押すと、ジャージ姿の颯太がドアを開けてくれた。
「……」
「颯太。本当にごめ――」
「引っ越しの準備で散らかってるけど、沙耶の物はそのままだから。早く持って帰って」
「……うん」
颯太は私と話すつもりはないらしく、わざとテレビゲームに没頭し始めた。
私はその横で、化粧品やマグカップなど、私物をバッグに詰めていった。
ピコン、ピコン。テレビから鳴る軽快な音。
そっと横目で見ると、敵のボスキャラに苦戦している場面だった。
そういえば颯太、いつもここで負けるんだよな。
勝てる裏技があるのに知らなくて、毎回失敗してるの。



