「大丈夫だから。泣かなくていいよ」
まわりの人たちが無視して通りすぎる中、天馬さんは何の迷いもなく声をかける。
そして男の子をひょいと抱き上げると、私の方をふり返った。
「ちょっと駅の方まで戻っていい?」
「あ……はいっ」
来た道を引き返し、駅前の交番へと向かう天馬さん。
その後ろをついていく私。
男の子を抱いた天馬さんの、背中がすごく優しくて
なんだか無性に、胸が温かくなる……。
交番に着くと、タイミングよく男の子のお母さんが来ていた。
無事に親子が再会できたのを見届けた天馬さんは、何も言わずに交番を後にした。



