「……猫の赤ちゃん」 「え?」 「生まれました」 「えっ!? 何?」 ……ホント、何言ってんだろう。 「はるかちゃん? あー、ダメだ、充電ねーし。 今どこ――」 ダイスケさんの言葉の途中で、通話が切れた。 電車が到着して、また発車して。それを何回くり返した頃だろう。 あたしはまだ、猫のそばでしゃがんでいた。 そんなあたしの背後から、飄々とした声が響いた。 「お~、マジで生まれてるし」 ダイスケさん……。