「へー。よくこんな日に予約なんか取れたね」

店内の恋人ムードに感心したように、ダイスケさんが言った。


「友達のツテで無理言って取ってもらったんです。
だから今さらキャンセルしにくくて……。
せっかくのバレンタインなのに、ダイスケさんを付き合わせちゃってすみません」

「いや、俺は大歓迎だけど。
でもそこまでして取ったのに、俺なんかと来てよかったわけ?」

「……一緒に来る予定だった人とは、別れちゃったから」

「あぁ、こないだのイベントの日に別れた男」


クイズの答えを当てるように、あっけらかんと言うダイスケさん。

この人の、変に気を使いすぎないこういう所が、いいなと思う。