あたしはピシャリと言い放ち、アパートの階段の方に歩きだした。 そしてダイスケの前を通り過ぎようとした、そのとき。 「お前、テルさんと付き合ってんの?」 ふいにそんな言葉を投げかけられ、足を止めてしまった。 ゆっくり見下ろすと、ダイスケは試すような挑戦的な瞳で、口元にだけ笑みを浮かべていた。 「何、わけわかんないこと……」 「タクシーん中で、肩抱かれてたじゃん」 カッと頬が熱くなる。 恥ずかしさを通り越して、怒りがこみ上げた。