テルさんは大人の笑顔でそう言ったけど。
それだけじゃないんだろうなって、何となくわかった。


たぶん、あたしがさっきダイスケと口論になったことを、誰かから聞いたんだ。


あたしがダイスケと顔を合わせたくないの、わかって……それで、誘ってくれたんだと思う。



「……はい」

「んじゃ、化粧直してこい」


ぽん、と背中を叩くテルさん。


人から助け船を出してもらうのは、好きじゃないあたしだけど、今日だけは例外。


大人なテルさんの優しさに、甘えさせてもらうことにした。




   ―――NAMI