「あ、でもね、タケル。さっきの人とは何も、あやしいことはないんだよ。あの人、ナミの知り合いで――」

「知ってる。ダイスケとかいうダンサーやろ?」

「へ?」


なんで名前まで知ってんの?


「……前にお前が、雑誌であいつを見て、キャーキャー言うてたから。
ムカついたから、覚えてた」


タケル……。


友達時代とは違う、“彼氏の顔”したタケル。

あたしはどんな反応すればいいのかわかんなくて、困惑してしまう。


普通なら、すっごく嬉しいはずなのに。

たぶん今までの彼氏に同じこと言われたら、トキめいてニヤけてたはずなのに。