「あっ……タケル」 スッと離れるダイスケさんの手。 タケルは人ごみを縫って、こっちに歩いてきた。 「遅いから心配したやんけ」 「ごめん。人が多いから、なかなか進まなくて」 あたしのそばまで来たタケルが、ちらっとダイスケさんの方に視線を向ける。 背が高いダイスケさんは、見下ろすように一瞬だけ目を合わせると、軽く肩をすくめた。 「じゃあ、はるかちゃん。また」 「あっ、はい。どうもありがとうございました」 会釈するあたしに背を向けて、あっさり行ってしまうダイスケさん。