冗談じゃない。



怒っているはずなのに
何故か悲しみは増す。



と言うより嘘だと思った。



本当に近藤が来るとは。



土砂降りの中、人影が見える。



「健ー!」



銀次は私たちが初めて会った
あの日に私を呼んだ時のように
近藤のことを呼んだ。



「…もう、帰る」



<帰んなよ>



私はこの言葉を待った。



「あぁ、帰れば?」



こんな返事、望んでいない。



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