「ネコごめんね?痛くない??」

「響、ネコ喋れないって。」
「そーそー誰かが気をつけてドア開けないから。」

「うるせー双子!ネコ、本当に本当にごめんね!!」

一生懸命に頭を下げる響くんとそれをからかう秋季くんと春季くん。
日和くんに抱っこされている状態で目を覚まして、何が起こったのかいまいちわからない・・・。

でも、口の中がひりひりして、唇の端もひりひりして喋りにくいのと、口の中に広がる鉄の味ははっきりとわかる。

「はぁ~。だから“おいっ”って言っただろうが。」

「だって・・!!・・・くぅぅぅ~!!・・・!!」

口を開きかけて傷みに顔が歪む。
口の中が相当切れているのだろう、開けただけでしみる・・・。

走ってこの部屋を飛び出そうとした私は、勢いよく入ってこようとしていた響くんが開けたドアに思いっきり顔面からぶつかった。

それで気を失って、目を覚まして今。

「う~ん。これは夜まで腫れが引かないかもね。腫れが引いたら痛さもなくなるからね。」

保健室の先生を呼んできてくれた、1番の駿足の鈴くん。
口の端の切れたところに薬を塗ってくれ、お母さんみたいな雰囲気の先生が出て行った。