「あ、また“かわいそー”とか思っちった。マコ、お前本当にかわいそーなヤツなんじゃねぇの?だって俺さっきからお前が“かわいそー”で“かわいそー”でたまんねぇもん」

と、まだしつこく“かわいそー”を繰り返すアッキーをそろそろ止めないと、別の角度から高藤がいつ怒り出すか分からない。

天然マコ様をナメちゃいけない。

とりあえずこの部屋からアッキーを連れ出そうと私が考え始めた時、高藤が久しぶりに口を開いた。

「黒田、最後に訊かせろ。……本当に、もういいんだな?今度こそ──」

「しつこいんだよ。お前、頭ん中もついでに診てもらえ。おらッ、タキ帰っぞ~」

急に立ち上がるアッキーに左手を引かれて、つられて私も歩き出す。

「黒田──」

ベッドからの声に面倒臭そうにアッキーが答える。

「ぁんだよ!?まだ何かあんのか──」

「悪かったな」

え?

あまりのセリフにびっくりして振り返ったら、高藤は何事もなかったかの様に雑誌をめくっていた。

だから空耳なんじゃないか?とか一瞬思ってしまう。