倉庫の王様

勢い余ったふりしてギュッと一瞬抱きしめた。



「ちょっ…」

「悪い、高橋怒らせた。気をつけろ」

「えっ…!?」

「はい、龍ヶ崎が鬼っ!!逃げるぞ~!!」



今伝えたかった。



どうしても離したくない。



「エロ理事長~」

「うるせぇ佐田!!よし、確保っ!!」

「ちょっ!?離してよっ!!」

「龍ヶ崎!!佐田が鬼になるって~!!」

「最悪っ!!セクハラ!!」

「サチのこと支えてやってくれ。なにがあっても…」

「へっ…?なに…それ…」



捕まえた佐田の腕から力が抜けた。



意味がわかってない顔…。



サチの友達はみんな知ってるって聞いたから…。



もし、俺達になにかあったら…お前達にしか頼れないんだ。



「ありがと先生っ!!よし、ヒカリが鬼ぃ~!!」

「最悪っ!!宮さんのアホ!!」

「逃げよう先生っ!!」



明るく振る舞ってたい。



きっとサチも同じ気持ち…。



たくさん泣かせたのに…。



俺はまだサチを泣かせる気がする。