倉庫の王様

俺って理事長っぽくないんだろうか。



今まで受け持った生徒達は全く変わらぬ態度で接してくるし。



まぁこんなのが理想っちゃー理想だけど。



「交通事故とか、水難事故に気をつけて、楽しい夏休みを過ごしてください」



俺の短い挨拶はすぐに終わった。



だって他に喋ることがない…。



卒業式とかはちゃんとやらなきゃいけないだろうけど、堅苦しい挨拶なんて、きっと望まれてないだろうし。



ステージを降りると教頭の不満な顔。



俺より下にいるのが気に入らないんだろうけど。



昔からこの学校にいてくれるから今は少し感謝してる。



「理事長、今日のスーツも素敵ですね」

「そう?2万で買ったんだけどね」

「えっ?スーツってそんなに安く買えるんですか?」



今年度から来た先生達は、みんな変わってる。



俺が理事長になるってことで少し揉めたこの学校。



だからたくさんの教師がここから去ってった。



その代わりに来たのが変わり者ぞろいで…。



自分がいちばんって思ってるヤツが結構いたりして。



俺的にはやりやすくていいんだけど。