倉庫の王様

感情をコントロールできなくなるのは暗闇の時だけなのに…。



今までこんなに泣いたこともないくらいワンワン泣いた。



ギュッと抱きしめてくれるイブ君の珍しい優しさに甘えてしまいそう…。



今はやめて…。



誰かに頼りたくないの…。



これ以上先生から離れたくない…。



「そんなんじゃひとりで帰れねぇだろ?送ってやるからあんまり泣くな」

「大丈夫だよ…」

「なにも聞かないって約束するから送らせろ」



やっぱりイブ君は強引。



昔からそうだった。



あたしに向けられる言葉は全部命令系で…。



たまに優しくするのは卑怯だよ…。



無理矢理繋がれた手をもう一度振り払う力は残ってなかった。



そしてあたしの家に着いた時。



「お前見てるとムカつくんだ。だけどこれって好きなのかも」



急な告白に引っ込んだ涙…。



先生の言ってたことは当たってたのかも…。



「俺が…その…守ってやるから。だから…泣くなよ」



今まで聞いたこともない優しい声だった。