家を出た時から俺と親父の時間は止まってる。




険悪なまま家から逃げた。



だから親父も俺に執着してるんだと思う…。



「遊和さん、応接室にみなさんがお集まりですが…」

「今行く。伯父さん来てる?」

「えぇ、大丈夫?」

「大丈夫、俺ちゃんとやるから」



お手伝いさんは昔から俺達の面倒を見てくれてる人。



家庭の事情も知ってて、いつもよくしてくれた。



今度は俺がこの家のことを真面目に考える番…。



「伯父さん、いらしてたんですか」

「この先のことをどうするか話し合っておかなければ」

「俺が…全部背負います。弟にはまだ重すぎる」

「遊和が跡取りになるなら反対はしないが…」



だけど今更でてきて跡取りとか言ってんじゃねぇって?



親戚一同、絶対そう思ってるはず…。



今まで勝手なことばっかりやってきた報いなのかも…。



だけどこの家のことを考えると…やっぱり俺が責任を取るべきなんだ…。



「兄さん、聞き捨てならない言葉が聞こえましたが?」

「桔梗っ…」

「誰に何を言われても戻って来なかった兄さんに今更渡せるとお思いですか?」

「お前…自分が何言ってんのかわかってんのか?」

「確かに兄さんは長男だ。だけど…跡取りにふさわしいのは僕ですよ」



今まで俺と比べられるからイヤだとか言ってたくせに…。



なんで…?