倉庫の王様

家まで送ってくれた先生は挨拶すると言ったけど断った。



だって友達と遊びに行ったことになってるし…。



だからバイバイのキスは少し長め。



離れたくないのは先生も一緒なのかな…。



「また明日」

「うん、バイバイ…」



見えなくなるまで見送った先生の車。



今別れたばっかりなのにたまらなく会いたい。



あたし、先生でおかしくなっちゃったみたい…。



なぜか泣きたくなるほど切ない気持ちになった。



そして次の日、朝に向かった倉庫でビックリ…。



倉庫が…ない。



ただいたのは先生だけ。



「な、なんで…」

「使わないから取り壊したって教頭に言われた。新しく部室にすんだって」

「どう…しよう…」

「他あたるしかねぇか…。ほら、教室行け」



ジワッと込み上げた熱いモノ。



あたしと先生の始まりがなくなっちゃった…。



「泣くな。俺だって泣きてぇ…」



グッと堪えた涙は教室まで我慢できそうにない。



どうしよう…。