倉庫の王様

父が作った久しぶりの夕飯も喉を通らない。



先生と女の人が一緒にいるなんて考えただけでもイヤ。



なかなか眠れずに部屋でボーッとしてた。



「サチ?入るぞ?」

「父!?早かったね!!」

「なんかサチの様子が変だったから気になって急いで終わらせて来た」

「父…」

「なんかあった?」



父にはなんでも言って来た。



異性の親子だけど隠し事はしてない。



先生のことを除いては…。



「好きな人が彼女いたっぽい…」

「失恋で悲しくなってんの?」

「告ってもいないのに失恋とか言うなバカ父!!」

「悪い悪い。でも青春じゃん?楽しいんでしょ?」

「父は失恋したことある?」

「ん~…。ない。だってサチの母ちゃんしか愛したことないから。父ちゃんがサチの歳には学校と子育てに追われてそれどころじゃなかったし」



ねぇ父、あたしのママは生きてるの?



それとも死んでるの?



それすら父ははぐらかす。



だからもう聞かない。