城崎ほどではないが、有貴や市川も
「おめでとう」
と祝福してくれた。


市川は、何となくそんな気がしていたと笑顔で言っていたが、やっぱりどこか申し訳無い気持ちでいっぱいになる。

有貴に至っては、現場に居合わせてたのもあり、告白を了承してすぐに、笑顔で声を掛けてくれた。


けれど、有貴への思いは膨らむばかりだった。

俺達を祝福してくれた時の有貴の目は、笑っていた筈なのに、どこか切なかった…


俺のこと、応援してくれてたんだよな?

それは、やっぱり嘘だったのか?

…嘘だと考えるのが、妥当だよな。


現にそれを裏付けるかのように、有貴はあまり絡んで来なくなった。

その代わり、あの野球部のキャプテンと一緒にいるところを見掛けるようになった。


あんなに言っていた俺への気持ちは、全て嘘…?


そんな風にまで、有貴を思ってしまう。


そうだ、忘れよう…

全部無かったことにすればいいんだ。

いつまで有貴のことを引き摺るつもりだ。


俺は柚里のことだけを想っていればいい…