ここ数日、俺は柚里に猛アタックする日々を送っている。

勿論、俺を好きになってもらう為だ。

今の俺の行動が無駄だとは思わない。

城崎もなんか俺のこと応援してくれてるし。


その代わりと言っちゃなんだけど、俺は城崎のマシンガントークに耳を傾け、相槌を打っている。

有貴は…特にいつもと変わらない。

普通に喋って、普通に笑って、普通に…相談してみたり。

怒られるかなって思ってたけど、全然そんなこと無かった。

むしろプラスになる言葉を掛けてくれたり…

俺のこと、好きって言ってるのに、どうして俺を応援出来るのだろう…?

有貴の心が読めない。



「柚里、あのさ…っ」


放課後、教室に偶然居合わせた俺と柚里。

やけに広く感じる教室は、2人きりの空間だった。


「何?」

「今度の日曜、試合あるんだ、柔道の。…その…暇だったら観に来て欲しいなぁなんて」

「…いいよ」

「………えっ?」

「流羽くんのこと、応援しに行くね」


ふわりと笑う柚里の顔に、窓からオレンジの陽がちらちらと刺さる。


「あ…りがとう」

「じゃあ、また明日」


そう言って、柚里は教室から去って行った。

俺は、その場に呆然と立ちすくむ。


柚里…俺の応援するって言ってた!?

マジかよ…夢みてぇ。

思わず頬をつねってみる。

痛い。夢じゃない。

絶対勝たなきゃ!

練習、超頑張ろう!