「流羽って案外何でも着こなしちゃうよな。ちょっと羨ましい。メイド服とかもさ…」

「それ、褒め言葉だと捉えていいの?すっげぇ複雑なんだけど。つかメイド服押しすぎだろ」

「メイド服を着こなせない女の子もいる中、それを差し置いて可憐に着こなす流羽はすごいと思う」


真顔でそう言ってのける有貴。


「全く嬉しくないから!…今日の有貴、なんか変!」

「だって、誕生日に好きな人と一緒に過ごせるって、幸せじゃん?」


有貴が、笑った。

大人びた顔が、15歳の少年らしくなった瞬間だった。


「もうすぐ…誕生日終わっちゃうな」

「あと5分だ」

「誕生日おめでとう」

「ありがとう」


こうして、2人きりの夜は静かに更けていった……