「に、しても」

いきなりアゴを捕まれ、上を向かされた。

「全然怯えないんだな、月花ちゃん」

「―あいにくとアナタ達みたいなのには慣れててね。簡単には怯えるような女じゃないのよ」

わたしは白雨の手を叩いて、顔をそむけた。

「いいねぇ。ちゃんとした女、俺の好みだよ」

「残念。わたしは正義くんの彼女だから、ムリ」

「どうかな? 無理やり奪ってしまうことだって、できるんだが」

挑発的な視線を受け止め、わたしも睨み返す。

「アンタじゃ役不足よ。引っ込みなさい」

「あはは! 役不足ときたか!」

白雨は手を叩き、涙を浮かべるほど笑った。

「俺のオンナになりたいってヤツ、結構いるんだけどな」

「じゃあその子らを相手にしてなさい」