しかめっつらのままリビングに行くと、…本当に父さんが来ていた。

「父さん、何の用よ?」

「おお! ひな、帰ったか!」

50近くの父さんは、輝いた笑顔で抱きついてきた。

「んもー父さん、さみしかったんだぞ?」

「お母さんと二人っきりで、どこがさみしいのよ!」

「そこに子供のお前がいなきゃ、さみしいじゃないか。家族と言えないだろ?」

「夫婦でガマンしなさいよ!」

結婚して20年目でもラブラブのクセに!

…まあ子供としては、嬉しいケド。わたしを可愛がってくれるし。

「…とりあえず、座りましょうよ。わたし、疲れてるの」

「おお、そうだな」