「えっ…。ひなさん、理事長を『父さん』って…」

わたしは頬をふくらませ、横を向いた。

「…月花星雪(ほしゆき)。この美夜の理事長は、わたしの実父で、龍星会の次期後継者よ」

「へっ…えええええっ!」

全員が、ぎょっと後ずさった。

「あっ! 黄龍の制度を作ったのって…」

「理事長だったわよね!?」

青城先輩と朱李ちゃんが、お互いを見ながら言った。

「理事長に一人娘がいることは聞いていましたが…」

「そう言えばさっき月花が言ってたな…」

呆然としながらも、翠麻と芙蓉が呟いた。

黄龍のこと、そしてこの美夜学院をわたしの為に作った父は、今や鬼の形相になっていた。

…だから正義くんのことは、秘密にしときたかったのに。