―数十分後。

「はっ!」

彼は現実に帰ってきた。

「おかえり」

わたしは苦笑した。

「ごっゴメン! ぼ~っとしてて…!」

「気にしないで。わたしもぼ~とあなたを見てたから」

「えっ…えぇ?」

真っ赤になる彼の手を、今度は引っ張った。

「もうすぐショーがはじまるの。アシカとかイルカとか芸達者なのよ。見に行きましょ?」

「うっうん」