「あっあのっ、月花陽菜子さん!」

月花(つきか)陽菜子(ひなこ)。わたしの名前だ。

「はっはい」

突然呼び止められたわたしは、足を止めて振り返った。

真っ黒の髪に、顔を真っ赤に染めた男の子が立っている。

…見たことの無い顔だ。

「あのっ、オレっ、夜上正義って言います」

「はあ…」

夜上(やかみ)正義(まさよし)。…聞いたことの無い名前だ。

「ずっ…ずっとアナタのことが好きでした! オレと付き合ってください!」

そう言って深々と頭を下げ、右手をわたしに差し出した。

「…えっ、えーっと」

告白、だ。