「奴隷を逃がす、武器の城への搬入の阻止…。隠れて、こそこそと…。」

「…あぁ。気にしてたか?」

リオン様の、
わざと私を逆撫でる言葉。

いいえ、気にしていませんよ。
何故、直接私を倒しに来ないのかと苛々していた位です。


「まぁそれは大した事じゃない…。一番厄介なのは、私が私の策の為に張った島の『バリア』を…!!貴方が張り替えた事!」

私は大声を出し、
感情をあらわにして見せた。

そう、
あのバリアは予定外だった。


「敵の察知の為の物を、私がこの国の兵士やお前が他の国への侵略に出れぬよう作り替えた。それから城を出た!まさか、その時はお前が黒幕だとは夢にも思わなかったがな!」

「…えぇ、えぇ…。お陰様で!ラルファ侵略まで、あと少しというところで止められてしまいましたね!!その後シオン国まで吸収する私の策は凍結せざるを得なくなった!!」


――嘘だった。

後から取って付けた、
私の悪役らしい「野望」。

シオン国をもサザエルに吸収?
笑ってしまいますね?

そもそも、
「紅色の魔力」さえ手に入れば、ラルファ国さえどうでも良かったのですから…。