追憶 ―箱庭の境界―



「大丈夫…?猫ちゃん…」

「ルリ島のお妃様」が、
仔猫をそう撫で続けていた。

恐る恐る瞳を開けた仔猫は、目の前の女性がリフィル様ではない事に驚いていた。

状況が掴めずに身をこわばらせ、辺りを見回した。


「…大丈夫よ…?気を失っていたの…。」

女性は震える仔猫をそっと柔らかく撫でた。

彼女は、カルラ様。
あの時捕まえた、何の力も持たない「捕虜」。


『…ここはどこにゃにょ?』

「ここはルリ島です。あなたにはカルラの相手を…と思ったのですが、気を失うのを忘れていましたよ…」

ここもまた「鳥籠」。
サザエル王家の者だけが知る、魔力に覆われ隠された、小さな秘密の島。


「さぁ…私の用は済みましたから、私は帰りますが、猫ちゃん…あなたどうしますか…?」

私は仔猫にそう聞いた。

私の用は済んだ。
仔猫にカルラ様を会わせる事。
この島の存在をリオン様に伝える事。


ニャァ!
『…帰りゅわよ!お家に帰りゅんだかりゃ!』


私は満足だった。

リオン様、
この「鳥籠」も開けて下さい。

意味を成さない、
可哀想な、
…無駄な捕虜です。