「…使者、ですって?ラルファを混乱に陥れた張本人の貴方が、今更!」

「…今、だからですよ?リフィル様。ラルファ国王が、自国内のウィッチ狩りを始めたとの情報を得ましたので…」

私の口元が緩む。

ラルファ国民を装ったサザエルのウィッチを派遣し、各所で悪事を働かせ、国内に混乱や暴動を起こさせて早数年。
ついには、敵も味方も巻き込んだ「ウィッチ狩り」の令。
ラルファは、確実に自滅の道を歩みだしている。


「更には、シオン国王女がラルファ国に嫁ぐ日が目前だとか…。贈り物を、しなければなりませんからねぇ?」


――刺客を。

そして、
血にまみれた、

――争いを。


紅色の魔力は、渡しません。

私は貴女の為に。
全ては貴女の為に。

だから、
どうか悲しまないで。


貴女が幸せになれる日は、
もう目前なのだから。


「…さぁ、リフィル様。いつも通りに…。『心』を無くした貴女は、私の操り人形なのですから…」

貴女の意識は、私の中に。
さぁ、お眠り下さい。

辛い事には目を閉じて。
私が全てを引き受けますから。


さぁ…、
おやすみなさい、リフィル様…