「おーはよっ、アオ!」
「おはよ、えーちゃん」

桜並木を歩いてたら、
後ろから声をかけられた。

春。
星条高校までの道は桜並木だからピンクに染まる。
ココを気に入ったから星条にしたようなものだ。
後は偏差値トカ。

「どしたの、元気無いね?」

親友の高岡絵李奈、ニックネームはえーちゃん。
彼女とは小学校3年生からの付き合いなんだ。

「そうかな?」

何で分かるのよ!?

「うん、顔色が悪いぞ!
朝ゴハンはきちんと食べ…」
「あのね!」

私はえーちゃんの言葉を遮って叫んだ。

「う~ん?」
「やっぱり、なんでもない!」

結局言わなかった家庭事情。
てか、言わないほうがいいのは分かってる。

少し錆びた大きな洋風の門が姿を現す。
その後ろにあるのは、広い校庭とイマドキ有り得ないレンガの校舎。
星条高校が姿を現す(イチオウ私立)。

「あ」
「どうしたの?」
「久遠サマのご登場ね」

えーちゃんは立ち止まる。

黒いベンツが門の横に止まる。

「久遠クーンッ!!」
「久遠サマ!!」

どこから湧くのか、女子生徒が群がる。
共学の定めよね…。

「また今日もかい…」

えーちゃんは肩をすくめたのだった。