ちょっと、意地悪し過ぎたかなぁ。

美雪の後ろ姿を見送りながら、そう思った。



「おい、隆志」

「ん?」

「何の話をしてたんだ?」

真佐志は怪訝そうに俺を見た。

「そう言えば、おまえに言ってなかったけど、美雪に訊いたら沖野先生に舞台公演の時会ったのは偶然だ、って言ってたぞ?」

「さっきそう聞いた。『おまえら、付き合ってるのか?』って言ったんだ」

俺がそう言うと、真佐志が笑った。



「そんな筈ないだろう? 沖野先生と美雪は10才も違うんだぜぇ? 沖野先生から見たら、美雪なんて子供だろ?」

真佐志の言葉に、内心、苦笑いする。