「今、コーヒー入れようと思ってたところだから、ちょっと待っててね」



俺と話す美雪は、いつもと変わらない。

文化祭でバタバタしてたから、沖野先生とは話してないのか?

それとも心配を掛けないように、沖野先生が俺と話した事は、何も美雪に言ってないのか?



「なぁ、美雪」

台所へ行き掛けた美雪を呼び止めると、振り返った。

「昨日、沖野先生に会ったか?」

美雪が一瞬、ビクッとした。



「会ったけど……それがどうかしたの?」

「ん? いや……沖野先生と何か話したか?」

俺がそう訊くと、美雪は何かを考え込み始めた。