そして秘密の〜番外編〜

美雪の顔を覗き込むと、ちょっと泣きそうな、戸惑った表情をしていた。



「そんな顔、すんなよ。俺、言ったよな? 『忘れなくていい』って」

「……涼……」

美雪は小さく呟きながら、俺をウルウルした瞳で見ていた。



「さっきの美雪を見てたら、初めて僚二と一緒に舞台を観た時の事を思い出したんだ」

立ち止まったまま動かない美雪の背中を軽く押しながら、俺は話し始めた。



「あいつの母親が学生時代に演劇やってて、その関係で俺と僚二が幼い頃、演劇の舞台公演に連れて行ってもらった事があってさ……それが2人共、初めての観劇だったんだよ」



「えっ? そうなの? そんな話、聞いた事なかった」

美雪は再び歩きながら、俺を見てそう言った。