「彼女が観たいのにチケット買えなかったから、すっげー喜んでたんだ。律儀なヤツで、きっとおまえに礼を言いたいと思うから、あいつの分も礼を言うよ」



和馬はニコニコと嬉しそうに笑っていた。



「まさか涼の口から、恋人の話が出てくるとは、思ってもみなかったよ」



ったく、俊夫といい、和馬といい……俺の恋愛に関する評価って、そんな感じかよ。

でも。



「俺だって、未だかつて、おまえの恋愛話なんて聞いた記憶がねーんだけど?」



そんな俺の言葉に、和馬の表情が変わった。

少し淋しげな微笑み。