「じゃあね、バイバイ」

弥生が遊んでいた犬にそう言って、手を振った。



そして、クルッと振り返り、俺を見て笑った。

あっ!



「思い出したっ!」

「えっ?」

弥生は不思議そうに、一瞬、首を傾げた。



けど。



「あっ!」

弥生も気が付いたようで、去って行く犬の方をチラッと見てから、俺に視線を戻した。





あの言葉をずっと、覚えていたんだ……。