「でも……男の人と一緒だったって、言ってたぞ?」 注意深く美雪の様子を見てると、一瞬、肩がピクッと動いた。 やっぱり……そう、なのか? すると、美雪は言った。 「あっ、言い忘れてたかなぁ? 会場で、沖野先生と偶然会ったの」 ドクン 美雪の口から直接『沖野先生』の名前が出て、心臓が鳴った。 『偶然』? そんな偶然、有り得ないだろ? 「じゃぁ、本当だったんだ……“沖野先生らしき人”と一緒だったって」 俺がそう言うと、美雪の動きが止まった。