もういいや。



俺は美雪の頭の上に片手を置いて、クシャクシャと掻き乱した。



「うわっ、お兄ちゃん、なんなのっ!」

「おまえ、1人で楽しんでるんじゃねーよ。俺なんか、今日1日受験勉強してたのに」

「いいじゃん! 私が高校受験の時だって、お兄ちゃん、遊んでたでしょう? お互い様だよぉ」



そう言って楽しそうに『べー』って舌を出してから、美雪は俺の手を逃れて自分の部屋へ入って行った。



いつも俺にまとわり付いていた、幼い頃の美雪を思い出す。

あんなに小さかった妹が、今は少しずつ『大人の女性』になろうとしている。