「そう、『お兄ちゃん』。よろしくな、美雪」

ちょっと兄貴ぶって、強気な口調で挨拶すると。



「お兄ちゃんっ!」

急に母さんの陰から飛び出して来て、美雪は俺に嬉しそうに抱き付いた。



ドキッ

さっきまでの怯え方はすっかり消え、ニコニコと笑っている女の子。



この時、初めての感情が湧き上がって来た。



この無邪気な可愛い妹の笑顔を守りたい。

悲しい涙を流さないように。

辛い想いで苦しまないように。

傷付けようとするもの全てから、守ってやりたい。



そう思った。