「俺は………何を望んで………。」


震える声で絞り出すように皎は呟き、そして。





「すまないっ!」


突然にそう叫ぶと、皎の姿は吹き抜けた突風と共に。




かき消えてしまっていました。


先程までの余韻の残る室内と。


哀しい声の響き渡る、木枯らしの吹き行く夜の世界の間で。


わたしは起こった事について考える為に窓辺へと立ちました。




そうして。


月の光に包まれたままで。


わたしはずっとずっと。


月を見上げていたのでした。



     初見月 了