豊かに降り注ぎ、わたしを取り巻く月の光に包まれて。


わたしは最大限に大きくなるまで満ちた、太った月の鎮座する夜空を児戯のような事をしながら、見上げていました。


そう。


わたしは今夜も皎の訪れを待っていたのでした。


白銀色に満たされた夜の静寂の中に、吹き行く風が時折泣いているかのような音を添え。


風景を揺らして行く様を眺めているうちに、いつしかわたしは寒さも忘れ。


心の向かうままに景色の中を旅しているような心地に全霊を取り込まれたようになっていました。