ポケットの恋

「おまえ…恥ずかしく無いの?」
南部の思考は、古谷の何かを押し殺したような一言で飛んだ。
「恥ずかしくなんかない!だって好きだから!」
「何言ってんの?好きなら何してもいいとか恥ずかしいこと言うなよ?こっちが死にたくなる」
「関係ないっ!あたしと付き合って!秋田真実、どうなっても知らないよ!?」
「秋田に言ってアドレス変えさせること可能だけど?」
突然由利は勝ち誇ったような笑みをうかべた。
「調べるの、簡単」

カーテンの裏で、南部の背中が粟立った。
もしかして、もしかして―…
根拠のない疑いが南部の中で広がった。
もしかして、幸日のストーカーは由利かもしれない。

「お前、それでもまだ愛だとかほざくわけ?」
古谷の冷たい声が響く。
「そうだけど!」
「…いやぁーはっはー、愛ってほんと美しいですなぁー」
まるっきり棒読みで言って、古谷は頭を掻いた。