「好きって分かんないもんだよ。 自分じゃ手に負えない時だってあるし」 そう言う歩美がなんだか恋の師匠に思えてくる。 「……でも、名前も何にも知らないんだ。 先輩のこと…」 そう。何にも知らない。 名前も、誕生日も、血液型も。 なんであんな瞳をするのかも。 「なに弱気なこと言ってんの!! 何も知らないから奈子が頑張って先輩にアピールして、先輩のこと知っていくんでしょ!」 これから知ってく…? 「今は知らなくても これから知っていこうって頑張ればいいんじゃん」 .