プハァ。


大袈裟な。『彼女』は一息吐いた『彼』にそう言い放つ。


しかし『彼』はそんな事などお構いなしに口元を乱暴に拭いーー。


「今日は何のようだ」


「何の用?アナタってばいつからそんな冗談を言うようになったの?」


『彼女』はやはり笑う。


つくづく思うのだが、この女の通り名はやはり『魔女』が似合う。


どこかオカルトチックな美貌に、悪魔的な強さ。それに伴った性根の歪みを表現するなら『魔女』ほどマッチする蔑称はない。


事実、『彼』は部内では彼女を『魔女』と称している。


今度は『彼』が笑う番だ。


「何が可笑しいの?」


少し前、どこかで聞いた。…いやむしろ言った側か。


なんだか、それさえも可笑しい。