「確かに、私も凄いと思う。けど」


「それだけじゃ、足りないのかい?」


先んじてハレルヤが言葉を被せる。


イラっとはするが、だけどその通りだ。


多分、彼があの人の弟だ。と言う期待が高すぎたのだと思うけど。


それでもやはり期待してしまわずにはいられなかった。


だが彼はその大きな期待に応える事は出来なかった。


過度な期待を持ちすぎたのだ。別に、彼が悪い訳じゃない。


むしろフランシアとハレルヤの言うとおり彼はよくやった方だ。


……だけど。


桃東は、今日何度目だかわからないため息を吐いた。


「姫様」


ギュッと、フランシアが袖を掴む。


心配してくれてるだろう。桃東の顔を覗き込むフランシアの金髪が宙にこぼれた。