やりたい事はなんとなくわかった。


なら、自分がする事はただ一つ。


「俺は、『勇者』の勝利を願ってる。……『勇者』を、頼んだぞ…っ!!」


それから、更に加速。弟を後方へ置いてきぼりにして。


先に窓へとたどり着き、


退屈を固めたような校舎と、自由と青空が広がる外を切り離す一枚の窓ガラスを引き。


自由への道を開く。


青い、木々の匂い。それと暖かさを運び始めた風が校舎に入り込む。


道は、出来た。


そして『伝説』の弟は窓の縁(へり)に勢いを殺さず足を掛け。


「任せろっ!!」


ダンッ!!


と、掛けた足が『彼』の体をまるで砲弾のように空へと投げ出した。





『彼』は、飛んだ。


まるで鳥のように。




空へと。




いや、缶へと向かって。


西木は叫んだ。


「fry away!!」
(遠くで揚げろ)




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