「…………だから、何だっていうんですか?さっきも言いましたが今は試合中。部外者は関与できません」


西木は「ククク」と小さく笑ってみせる。


「……なんですか?」


「そんな事知ってるさ」


だから別に邪魔なんてする気はない。


ただ、あの人。


……『勇者』に勝ってほしいのだ。


あの人は幾つもの戦いを経験した歴戦の兵だが。


実は一度として勝利と味わったことが無いのだ。


それは多分。


自分達のせいだと西木は考える。


自分達が弱いから、キャプテンは勝てないんだ、と。


だから、今回は。


相手が悪すぎるのはわかってる。


だが、勝ってほしい。今回は。


だから


「手伝わせてくれ、俺を」