「あの人は」、ねぇ。


僕は後頭部を一掻きしてから、バカ姉を恨んでおいた。


あの人は死んでなお、色んなものを残し過ぎた。


その後始末を誰がやるかも知らないで。


本当に、はた迷惑な姉だ。


僕は特大のため息を一つ吐いておいた。


「ぬ、ぐぅっ!!」


足に力を込める。


さっきとは比べるまでもないほどの力を。


ぐ、くぅ。


曲がる膝、足首。唸れ脹ら脛(ふくらはぎ)大腿部!!あ、あとヒラメ筋(ふくらはぎ)!!


足の裏が地面を踏みつける感覚。


緩慢に立ち上がると貧血なのか視界が濁った。


「行くのね」


「あぁ」


だって奴を倒せるのは僕しかいないんだろ?


「……勝算はあるの?」


勝算、ねぇ。ぶっちゃけ言うならば無い。皆無だ。


「普通にやるなら負ける」