「ま。そんなのはさておいて、皆待ってるから早く逝きましょ」


「いや、早く逝きたくないんです、が?」


また、背中に突き刺さる冷たい視線。


『…美人に手を繋がれて、嫌がってるだと?』


『憎い。…神奈河が憎い』


『え?神奈河に彼氏がいるって聞いたけど?』


ダメだ。


この教室の連中は嫉妬に狂っていやがる。


しかも何だよ彼氏って。


「ほら、歩いた歩いた」


もう、何だか疲れたよ。疲れちゃったよ僕。


一緒に逝ってくれるパトラッシュを探してみたけど、残念だ。


パトラッシュはどこにもいなかった。


代わりに冷たい視線。妬みを送るクラスメートがたくさん。


手を引かれるまま、僕はそんな彼等の視線を背に受けて教室から出て行った。