どこに向かって叫んだのか僕にはわからなかったがなんとなく僕も皆と同じ方を向いて見る。
渡り廊下の下。
その影の中から一人の男がこちらに歩み寄ってくる。
僕にはその男に見覚えがあった。
『兵庫 播磨』
サッカー部主将にして缶蹴においては二つ名を持つ、強者。
「…なんで、【勇者】が」
瞬間的に思い出したこの男からの打撃。
未だに腹部への一撃は痣(あざ)になって僕を苛(さいな)んでいるのだ。
「紹介するわ、我が缶蹴同好会の新入部員」
瞬間。『勇者』が「え?新入部員?」みたいな顔をしたけど見なかった事にした。
「いや、ちょっ!?『魔女』なにその新入部員って!?」
「今度の届けはキチンと校長に直接出したから生徒会の邪魔立てはないわ」
何というか、『勇者』超不憫。



